今月のキーポイント
「民間病院主導」による地域医療の冒険
地方小都市に見る広域医療連携のカタチ トップの「情熱」で“顔の見える連携”を実現
筆者は先日、岡山県真庭市を訪れて、同市に在る特定医療法人緑壮会・金田病院(177床)を取材し、金田道弘理事長にお話を伺う機会を得た。地方都市で医師不足・看護師不足、救急医療の廃止等による医療崩壊が顕在化する中、民間病院主導による「広域医療連携」の一つの試みとして非常に興味深いケースと思われたので、ここでご紹介させて頂く。 ・・・もっと見る
公立病院の赤字経営を救う道
慢性的赤字で苦しむ公立病院建て直しは社会医療法人の「経営力」に期待
筆者は最近、ある雑誌の仕事で兵庫県内の某公立病院を取材したのだが、この病院は院長の経営手腕により、様々な経営改革に着手。短期間で慢性的赤字体質から脱却し、黒字に転換したという触れこみだった。平成19年度のバランスシートを見せて頂いたのだが、ただ実際には、医業収益の合計から費用合計を差し引いた結果は、9億円以上のマイナス。要するに一般会計から10億円以上の繰入金が投入され、その結果、5000万円程度の当期純損益が計上されたという形だ。公的病院では大概の場合、一般会計からの赤字補てん、すなわち繰入金を投入した収支プラスを、「黒字経営」と称しているのだ。 ・・・もっと見る
未収金の実態と対策
組織的に未収金を「発生させない」仕組みづくりが肝要 外国人・ホームレス無保険者対策も急務の課題
今年1月の厚生労働省の発表によると、自営業者や無職の人が加入し市区町村が運営する国民健康保険(国保)で保険料を滞納した世帯が、08年6月1日時点で453万455世帯にも上った。国保加入世帯は同時点で2171万7837世帯と前年比では14.9%(379万409世帯)減少しているが、これは同年4月から75歳以上の国保加入者が「後期高齢者医療制度」に移行したことが原因。加入世帯に占める未納者の割合は20.9%と過去最悪、5世帯に1世帯が滞納している計算だ。 ・・・もっと見る
社会医療法人病院の現在
公共性・透明性の担保により経営が悪化した公的病院の「救世主」となるか!
07年の第五次医療法改正で創設された社会医療法人制度は、08年4月1日以降から都道府県での認定がスタートし、今年4月現在で28都道府県・55法人が承認を受けた。その内訳を見ると東京都では未だ1法人の認定しかない一方で、大阪府は7法人と最も多く全体的に西高東低の傾向が際立っている。 ・・・もっと見る
後期高齢者(長寿)医療制度の存亡(下)
~「上限6000円」でどこまでの医療が可能か?データを示した上で国民目線の議論を~
さて前回の原稿で仮に政権交代が実現した場合の「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度に名称変更を検討)の行く末に関して、中医協のメンバー等、様々な有識者・医療関係者の意見を紹介させていただいたが、唐突に7月21日国会が解散され、「選挙戦」に突入した。未定だった総選挙も8月30日に決定し、各政党はマニフェスト作成を急ぐ現段階である。 ・・・もっと見る
後期高齢者(長寿)医療制度の存亡(上)
中医協では来年度診療報酬改定に向けて 「後期高齢者医療制度」廃止に向けた議論に着手
“開かれた病院づくり”に貢献するボランティアの導入
~患者の心のケアとして注目される傾聴ボランティアの導入~
日本では1962年にアメリカ人医師が病院長を務めていた淀川キリスト教病院で、1人のドクターと3名の美容師によりスタートした奉仕活動が、病院ボランティアの始まりと言われている。その後、時代の変遷を経てボランティアを導入する病院が急速に増加し、行動範囲も徐々に拡大していった経緯がある。 ・・・もっと見る
地域で動き出した医療機関債
2007年の第五次医療法改正の目玉として新設された社会医療法人は、2009年2月現在で30法人・33病院が届出していたが、その後も厳しい条件をクリアして認定された同法人の数は、順調に増え続けているようだ。特に当初は特別・特定医療法人から移行するケースが目立っていたが、最近では一般医療法人から社会医療法人に移行する医療機関も徐々に増加しつつある。 ・・・もっと見る
急増する糖尿病対策と地域連携パスへの期待
医療法改正で4疾病5事業への位置づけ糖尿病も医療連携体制構築が不可欠に
2004年に発表された厚生労働省の「平成14年度糖尿病実態調査」によると、日本で「糖尿病が強く疑われる人」の数は約740万人、「糖尿病の可能性を否定出来ない人」の数は約880万人で、糖尿病予備軍・有病者を含めると約1620万人にも達していた。 ・・・もっと見る
自治体病院の経営改善には"病院経営のプロ"である事務職の活躍がカギ
約3割が独法化や民間委託を検討 非直営化には未だ強い抵抗も
昨年10月末に共同通信社が実施したアンケート調査によると、都道府県と政令指定都市が直接運営する229の自治体病院のうち約3割に当る68病院で、地方独立行政法人化や民間委託等の直営方式からの転換が計画・検討されていることが分かった。 ・・・もっと見る